(4)動物性香料

麝香(ジャコウ)
Musk
原産地:中国・ネパール

ヒマラヤ山岳地帯周辺より、中国・シベリア地方に広く分布する偶蹄目ジャコウジカ科の雄の分泌物で、下腹部にある香嚢より採取する。縄張りのマークや雌を引きつける為の匂いで、そのままでは良い香りとはいえないが、極度に薄めると見違える様な香りになる。数少ない動物性香料で、香水その他に幅広く使われ、重要かつ非常に高価。強心剤として、六神丸など漢方薬にも多く使われ、特殊な用途としては催淫剤として使われる事もある。一つの香嚢より約30gの麝香がとれるが、これを1kg集めるのに約100頭の麝香鹿を殺さねばならず(罠で雄・雌・幼獣を無差別に捕獲する為)年間何万頭をも必要とする。当然、絶滅の危機に瀕し、近年ワシントン条約により輸入禁止になった。

龍涎香(リュウゼンコウ)
Ambergris
原産地:南洋

抹香鯨の消化器内に、不明の原因により生じる一種の病的分泌物で、グリスの名の如く灰色のロウ状物質である。その形成には諸説あるが、抹香鯨の食物であるイカやタコの嘴が消化されずに結石し、この廻りに芳香成分が分泌され、これが体外へ排出されたものという説が妥当と思われる。実際良質品ほどイカ等の嘴が多く混入している。昔は海岸や海上に漂着しているのを採集するだけだったが、捕鯨時代には解体時にも得られるようになった。しかし、捕鯨禁止になって再び採取が困難なり貴重な香料といえる。漢名の由来は、正体不明の物質だった為に『龍の吐く涎』の意で付けられた。麝香と共に動物性香料の双璧で、媚薬として用いられる事も多かったようである。薬用としても強心・鎮痙等に効果的。

貝甲香(カイコウコウ)
Cuddy Shell
原産地:アフリカ

巻貝の蓋。現在日本へはザンジバル・フィリピン・南米などから入ってくるが、ザンジバル産が良質。粉末にして用いるが、保香剤としての需要が多い。