(1)はじめに

日本特有の嗅覚の芸術「香道」に代表される <和の香り>が、海外における日本ブームとあいまって注目を集めていますが、本来の<和の香り>の正体は、実は全て輸入品なのです。

西暦538年頃、中国を経由して、日本に仏教が伝来しました。いくつかの経典と共に、仏教の儀式に用いられる数々の香料も渡来しました。キリスト教に限らず、仏教においても、お香は極めて重要な存在なのです。大和・奈良時代では、香木をはじめとするそれらの香料は、主に経典に基づく儀式の必需品として用いられていました。平安時代になると、中国からの文化をただ受け入れて理解するだけでなく、よく消化して、さらに日本人特有の感性を織り込むこともできるようになっていました。お香の使い方にも変化が現れていました。この時代の大きな特徴である王朝文化は、朝廷を中心とする貴族達の美意識によって支えられていました。その美意識を象徴したのが「襲(かさね)の色」であり、「薫物(たきもの)の香り」であったのです。

「薫物」とは、粉末にした香木(沈香・伽羅)をベースに各種の香草や樹脂類を調合し、蜜などで練り固めたお香です。調合のレシピは現代にも伝わっていますが、驚くべきことに数多くの調合例は全て製作者のオリジナル・ブレンドだったのです。天皇でさえ自分好みの香りをブレンドし、工夫を凝らして自ら手作りしていたのです。「薫物」は炭を入れた香炉で加熱され、その香りは衣服や髪に焚き染められました。当時の夜は、月明かりの他は漆黒の闇。夜中に忍んで来たのが誰なのか、確かめようがありません。その時、相手の動きに応じてふっと漂うほのかな「薫物」の香りが、女性に悟らせるのです。「あ、この香りは、源氏の君だ」と。

自分の香りを自分で作る・・・「薫物」に限らず、平安時代の王朝貴族の文化を現代に生かすことは、不可能ではありません。それほど難しいことでも、お金がかかることでもありません。化学香料に頼らない本物の <和の香り=自然の香り>作りを香雅堂がお手伝いします。