香木の香気を体験―東京都立葛飾盲学校

色々とお伝えしたい出来事が山積しているにも拘わらず、とうとう大晦日を迎えてしまいました。
“毎月一種”と心掛けた推奨香木のご案内も、様々な仕事に追われ、小休止の状態が続いています。
一年の計が元旦にあったはずなのに…と自責の念に苛まれるのが、毎年、この時季です。

年賀状の準備もままならない中、「そんなもの、無事に年が明けてからお屠蘇をいただいて、
ゆったりとくつろいで書くもんじゃい」という天の声が聞こえたような気がすることを言い訳にしつつ、
心に残る幸せな体験のことを書き留めて、新しい年を迎えようと思います。

去る12月4日、昨年もお邪魔した東京都立葛飾盲学校に、伺ってきました。
生まれて初めて「香木の香りを聞く」という体験をされた中学部の生徒さんや先生方のご依頼を受け、
何か月も前から予定を決めていました。

視力に障害を持つ生徒さんたちは、何の先入観もなく香木に触れ、放たれる香気に集中してくれます。
そして発する感想も直線的で容赦なく、個性に溢れています。

紀佳さんは、昨年同様、黄熟香が一番のお気に入りでした。甘く感じられて、心が落ち着くそうです。
先週になって先生から届いたみんなのお手紙(ほとんどが点字で、先生の翻訳つき)によると、
快君・優稀君・志歩さんも黄熟香のファンになってくれたようです。

写真は先生が撮られたもので、香炉で聞香する前に香木の塊(黄熟香)の香りを確かめる美希さん。
矢継ぎ早に質問を繰り出してくれる、とても活発な2年生。今回の授業を一番楽しみにしてくれたのも、
美希さんだったようです。

葛飾盲学校(中村さん)

みんな『すっごく楽しかった!』と喜んでくれ、『また来年もきてください』と綴ってくれていますが、私は、
むしろ一番楽しんでいるのは自分だと感じていますし、請われるならば、また伺いたいと思います。
香木の香気を味わうことで心が開いたり世界が広がったり元気が増したりしてくれるならば本望ですし、
そんなに嬉しいことはめったに体験できるものではありません。
新しい年にも楽しみが待っていてくれることを、有り難いと感謝する次第です。

(麻布 香雅堂 主人)