歳末のご挨拶

例年この時季を迎えると遣り残したことの多さに気が沈みがちですが、今年の暮れは、
むしろ新しい年に企てる取り組みに馳せる思いが優っているように感じています。

三津浜から

一つには、6回に亘って催す聞香会への思いがあります。
予定を公開して程なく来年9月の回まで満席となり、その後もキャンセル待ちのご要望を数多く頂戴する
事態に驚くと共に、皆さま方の関心の深さを心強く感じました。
ご期待に背かないよう、聞香の愉しさ・醍醐味を堪能していただけるよう、最善を尽くす所存です。
併せて、この機会に「最適な火加減」とはどのような状態か、そして、それを得るためにどのような
準備と技術とが要求されるのかについても、ご参加の皆様と一緒に考察し、ノウハウを共有できればと
考えています。

他には、30余年に亘って実現できずにいた「取扱商品の根本的な見直し」に、いよいよ抜本的に
取り組みたいと考えています。

香雅堂が「小さい会社であり続けたい」と望む理由は、幾つかあります。
余剰人員・設備を抱えないため諸経費を抑えることが可能となり、“必要な利益を上げるべく売上増大に
血眼にならなくてもよい”ことが、最大の理由です。
それは、香木をはじめとする天然香料の資源が少ないことと、大いに関連しています。
化学合成香料なら幾らでも生産できますし、原料費が安上がりで大量販売も可能ですが、
「本物のお香」を作り続けようとすれば、使える原料には限りがあり、量産など不可能だからです。
それに、量産・量販を目指さなければ、「作りたいものしか作らない・売らない」という
身勝手も通用しそうですし、「そんな店が存在しても悪くはないか」と感じて戴けるかも知れないと
思っています。

しかしながら、様々な事情もあって、そんな理想を開業当初から全ての商品に対して貫くことは、
残念ながら叶いませんでした。
でも、30余年を経て、頼もしい後継者にも恵まれて、ようやく機が熟したと感じています。

本物志向の皆様、どうぞ2016年からの新たな香雅堂を見守って下さいます様、そして健康に恵まれて
素敵な一年を過ごされます様、心から祈念申し上げます。

(麻布 香雅堂 主人)