早春の便り―慶雲館即事

初名草・春告草など数多くの異名が知られる梅の “にほひ” を求めつつ、
大好きな「鳰海(にほのうみ)」の畔、長浜市を訪ねて来ました。

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北琵琶湖の旬を堪能することが最大の目的ではありましたが、折しも日本一と称される
「長浜盆梅展」の開始日と重なり、初めて拝観することが叶いました。
旧型の携帯電話で撮影しており美しさを再現することはできませんが、
にほひを仄かにお裾分けさせていただきます。

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盆栽を観るのに拝観料が必要なのか…などと思いつつ入場しましたが、会場である慶雲館そのものが
素晴らしい書院建築で、思わず案内用パンフレットに目を通しました。
慶雲館は、明治天皇・昭憲皇太后の行幸に際し、休憩所として急遽大通寺別殿跡地に建設された迎賓館
だったそうです。
総檜の寄棟造・瓦葺の2階建で、延床面積500㎡。2階には玉座があり、琵琶湖・伊吹山を一望できます。
前庭・玄関前庭・本庭(池泉回遊式)も見事で、殊に本庭は、明治時代の気骨を顕すかのように、
外連味のない正統派の風情が感じられました。

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印象に残ったのは、宮中歌会始で昭和天皇を前にして諫言とも解せる歌を詠んだ堀口大學が
長浜を訪れた際の「慶雲館即事」が軸装され、床に掛けられていたことでした。
(「壬寅正月 長浜客中 作」とありますから、1962年、70歳の頃と思われます。)

ぼくもぼくの詩も
長浜の盆梅でありたい
年古りて幹枯れ朽ちて
花凛と色に香に冴え

歌会始に召されたのが1967年、75歳。享年89歳。
樹齢数百年の盆梅を鑑賞して「慶雲館即事」を詠んだ大學が、更に齢を重ねた後に、
果たしてどのような花を残したのか…“ぼくはどうありたいのか” はさて措いて、
興味を惹かれます。

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(麻布 香雅堂 主人)