寸門陀羅という木所に対する香雅堂の考え方

寸門陀羅も、佐曽羅と同様に、流派によって用いられる香木の種類が異なります。沈香以外の寸門陀羅が如何なる香木なのか、実は長い間不明でした。 その昔、故山本霞月女史の薫陶を受けられた或る先生から『これが御家流で使われて来た典型的な寸門陀羅よ』と幾つかの塊を見せていただいた名香『苧環(おだまき)』は、見かけも香気も明らかに沈香とは別種に思えましたが、では何の植物かと問われれば、答えようがありませんでした。

別の先生からも三炷ほどの欠片をお預かりし、『これと同じ香木を探してちょうだい』と頼まれもしましたが、依然として見当も付かないまま、何年かが経ちました。そして、全くの偶然をきっかけに、同種の香木を探し当てる幸運に恵まれたのですが、その辺りの詳細につきましては、項を改めて、採り上げたいと考えています。

ここでは沈香の寸門陀羅について触れさせていただきますが、それらは"佐曽羅と同じく、「タニ沈香」と通称されるインドネシア産である"というのが、香雅堂の見解です。(「タニ沈香」に関しましては、以下のページをご参照下さいませ。)

http://www.kogado.co.jp/koboku/sasora.html

沈香の佐曽羅・寸門陀羅が産地を同じくすることは、真那賀・真南蛮の場合と同様に、先代からの教えにより学びました。様々な形状をした沈香の塊が何十kgという単位で産地から届くと、先ず、使い途に応じて選別する作業が始まりました。(当時、最も大量に輸入されていた沈香は、インドネシア産でした。)

最優先されたのは、「聞香に適するかどうか」の判断でした。インドネシア産の場合、それは、「佐曽羅に使えるか」・「寸門陀羅に使えるか」と同義です。適すると判断しても、香木としての品質が低いもの、つまり樹脂化の度合いが不十分であり使い勝手の悪い塊は、聞香用からは除外されました。 その上で、実際に香気を確認してみて、用途が決められてゆきます。

聞香に適さないものは、分割(角割)・刻・粉末等に向けられました。慣れてくると、外見上の様子からでも、両者の違いや品質の高低を見分けることが出来るようになりました。近年になって外見上の鑑定の根拠や方法に関してご質問を頂戴することが増えていますが、残念なことに、うまく回答することは困難です。以前にも触れましたように、数を当たってデータを蓄積していただくしか、方法は無いように思えます。

佐曽羅と寸門陀羅との違いを聞き分けることは、産地を同じくする沈香ということもあり、困難な場合が多いと思われます。 決め手となりうるものとしては、「酸味」を挙げることができると思いますが、寸門陀羅の場合、「味」と言うよりも「特有の香気」と表現するのが相応しいように感じられます。

 ※香木の写真をクリックすると、該当の香木の詳細説明ページに移動します。移動したページは弊社オンラインストア内のページでもございますことをご了承ください。

さまざまな寸門陀羅のご紹介

仮銘「うすき衣」
仮銘「春ゆく水」
ご購入方法について

→ 販売方法は、店舗内での対面方式を原則とさせていただいています。予め小さく截香(せっこう=塊の香木を挽いたり割ったりすること)しておくことによる劣化を防ぐ意味合いもさることながら、お客様のご要望―どの流派に属しておられ、どのような香組に用いられるのか、一たき分の大きさはどれくらいか等々―を承った上で、1000種類を超える中から最適と思える香木をお勧めしたいと考えるからです。(但し、御先代・御当代に拘らず、志野流香道御家元の銘付香木につきましては、四伝の御伝授に必要とされる志野流香道のご門弟に限り、最少量をお分けしています。)

→ 遠方にお住いのお客様の場合、ご旅行やご出張のついでにお立ち寄りいただくことも多々ございますが、なかなか機会が訪れない場合も、また狭い店内に長時間に亘って滞在される余裕がおありでない場合も多いため、お電話やメールでのお問い合わせにも対応させていただきます。また、時折はオンラインショップ(kaorimiyabi)でも案内して参ります。

→ オンラインストアに掲載されている香木は、取扱い商品全体のごくごく一部(少なく数えても1000種類以上の香木の取り扱いがございます)とお考えください。掲載の無い御香木で御入用のもの等がございましたら、お気軽にお電話もしくはメールにてお問い合わせください。

→ ご来店でのご購入をご希望の場合、お手数ですが電話(03-3452-0351)または下記アドレスまでメールでご連絡ください。香木担当(香雅堂 主人)より日程の相談や状況の確認を簡単にさせていただきます。ご予約無しでのご来店の場合、担当者が不在または来客中ということがございますことご了承ください。
メールアドレス

→ 御注文の際には、①御所属であれば香道の流派(流派によって木所の分類の認識や、一ちゅう分の香木の大きさが異なる為)②大体のご予算③お決まりでしたらご所望の木所④香木の形状(塊、短冊状、その両方など)⑤一度に何名程度で聞く為か、等の情報をお教えいただける範囲でご指示いただけますと、御所望の御香木をご案内させていただき易くなります。